こんんちは。
皆さんは「学校法人 きのくに子どもの村学園」という“私立”の学校をご存知でしょうか?
1992年に和歌山県で、戦後初めて“学校法人として認可された自由な学校”です!
・宿題が無い
・テストが無い
・ランドセルが無い
・受験指導はしない
・「先生」と呼ばれる大人はいない …等
【ないものづくしの学校】なのです!!
皆さんは、こんな学校のあり方が想像できますか?
ただ、もう一度言います。
1992年(約30年前)に“学校法人として認可された学校”なんです!
今回は、そんな きのくに子どもの村学園 の3つ目の学校である
「学校法人 きのくに子どもの村学園 南アルプス子どもの村小学校・中学校」へ取材させて頂きました!
学びの記録としてシェアさせていただきます。
僕の目にした輝きが読んでくださる方に少しでも伝わり、何かのヒントになれば幸いです。
もくじ |
1、【はじめに ~到着後のワクワク~】 2,【堀江校長(小学校)に取材】 3、【加藤校長(中学校)に取材】 4、【子供たちの様子】 5、【卒業生の声】 6、【堀理事長に取材】 7、【おわりに ~当たり前の特別~】 |
※基本情報
(南アルプス子どもの村さんのHPよりそのまま引用しています)
【時間割】
※僕は水曜日に取材させていただきました。
【プロジェクトとは?】
授業の大半は「プロジェクト」と呼ばれる完全な縦割りのクラスでおこなわれます。
各クラスにはプロジェクトの活動テーマがあります。そして、子ども自身が入りたいクラスを選びます。
毎年、活動テーマや友達や大人の顔を見て、子どもたちは真剣に考えます。そうしていろいろな年齢の子どもたちが集まって、協力して活動を進めます。
プロジェクトは教科学習の寄せ集めではありません。教科 を学ぶために活動するのではなく、それ自体が活動の目的 となるものです。
子どもの村の3つの原則、「自己決定」「個性尊重」「体験学習」が調和的に実行される学習形態で、有名な教育学者デューイが提唱した「活動的な仕事」にあたります。
その他の活動の概要、教育目標、3つの原則など、
詳しくはコチラの南アルプス子どもの村さんのHPをご確認ください!
http://www.kinokuni.ac.jp/nc_alps/html/htdocs/index.php
1,【はじめに ~到着後のワクワク~】
南アルプス子どもの村小学校・中学校に到着。
ユースフルタイムで掃き掃除をしている子供に入り口の場所を聞くと、
「ここの壁沿い歩けば門があるから、そこから入れますよ。」との即返答。
知らない大人の訪問に気後れするでもなく、緊張するでもなく、すぐに答える。当たり前のようで難しい事です。
『大人の訪問になれてるな!ありのままの姿を見られそうだぞ!』
校内に入る前から、私の心はワクワクと高鳴りました!!
校舎に入ると、職員室に案内していただきました。
そこで最初の衝撃を受けます。
職員室の扉は解放されており、
まるでただの教室のように子供たちが何人もいたのです!!
『ここは職員室なのか?』と疑ってしまう程の自然さです。
後のインタビューで分かったのですが、
この学校では「子ども」も「大人」も対等な関係を大切にしています。
実際、子どもは職員の先生を呼ぶときに「○○先生」ではなく、「あっきー(仮)」等のあだ名で呼びます。
職員室はその象徴のような光景を表していたのです。
大人が子ども扱いせずに信じているからこそ解放できています。
子どもは信じられている安心感と信頼関係があるからこそ職員室に入っても先生のものをいじったりはしません。
分かっているんです。
実際、僕が取材をさせていただいた職員室の奥にある小部屋(校長室?)もドアは解放状態でしたが、
そこには入ってくる子はいません。
大人が言わなくても、子どもは分かっているんですね。
2,【堀江校長先生に取材】
堀江校長先生(小学校の校長)にいろんな話を聞かせていただきました。
ここでは、中でも特に心に残った事を2つ書きます。(敬称略)
①《子供の言葉を本気で》
一つ目は、子供の言葉を本気で受け止めているということです!
以下の2つのやり取りで感じていただけると思います。
◎やり取り1
私: 「校則やルールはあるんですか?」
堀江:「学校が決めて押し付けるルールは無いけど、子供たちが自分たちで決めたルールはたくさんありますよ。」
堀江:「ちょっと前に、寮にスライムは持ち込まないってルールができてましたね。」
私: 「かわいい!!面白いですね!!」
堀江:「ねっ!ただ、子供たちにとっては本気なんです。持ち込んだスライムが床に落ちてて、床掃除が大変になる。」
堀江:「声掛けだけにするか。管理の仕方をルールにしようか。禁止にしようか。皆で考えて、合意形成をした上でルールができるんです。」
◎やり取り2
私: 「全校ミーティングの議題はどうやって決めているんですか?」
堀江:「議題箱がおいてあるんです。」
堀江:「今日の議題は、“○○君が雲梯する時に邪魔してきて嫌な思いをした。”という小学1年生の議題がありましたね。」
私: 「そういう個人的なものも扱うんですね。」
堀江:「個人的というか、学校で起きたことだから学校の皆で考えるのは当たり前の事でしょ。」
堀江:「意見が皆に受け止められる。それが大切かなって。大人がその意見の価値を判断する事はしないですね。」
いかがでしょうか?
どんな時でも子供の言葉を、大人の視点で判断しない!
子どもをたった一人の人格として尊重し、決めつけずに向き合う。
この当たり前のような営みを、ここまで徹底されている事を感じ、
私は、まだまだ自分の未熟さを痛感すると共に、感銘を受けました!
②《大人同士の対話から逃げない》
2つ目は、大人同士の対話に本気で取り組んでいるということです。
“職員関係” “保護者関係” について気を付けている事を聞きました。
◎職員関係
私 :「大人の人間関係が、すごく素敵に見えるんですが、何か管理職として意識しているこ事はあるんですか?」
堀江:「いやぁ…特には。見ての通り校長感が無くて。(笑) 普通に職員の先生たちと一緒に考えて悩んで、って感じなので…。」
堀江:「しいて言うなら、対等な感じで毎日のように喋ってるって事ですかね。」
私 :「なるほど!意見が職員間で割れた場合とかはどうされるんですか?」
堀江:「立場上、最後に判断するのは私にはなるんでしょうけど…。あんまりそういうことはないですね。」
堀江:「意見が違えば対話して合意形成をしていく。子供たちと同じです。」
職員同士のやり取りを見ていても、たしかにそれを感じました。
年齢の違い。経験の違い。そういう肩書を超えて、それぞれが尊び合っている。対等なんです。
だからこそ、職員同士でも合意形成をしていく事ができるのではないかと思いました。
(※ちなみに余談ですが、きのくにの職員の方の給料は年齢等で差はなく、基本的に一律です。詳しくは、後述の堀さんの著書をご覧ください。)
◎保護者関係
私 :「保護者との関係作りで気を付けている事とかはありますか?」
堀江:「そうですね。ちゃんと話を聞く事と、その上でも伝えるべき事はちゃんと伝える事ですね。」
私 :「やっぱりそこも対話なんですね。」
堀江:「そうですね。保護者とも対等な信頼関係が大切だと思ってます。」
堀江:「なので、必要な保護者の方は、相談できるように機会をつくっています。」
私 :「選んで入学していても、不安を感じたり、不安になったりする保護者の方もいるんですか?」
堀江:「そうですね。例えば、中学生になると受験が心配になって、受験指導をしてほしい、とおっしゃる方もたまにいます。」
私 :「その時はどうされるんですか?」
堀江:「不安になる気持ち事態は自然な事だと思うので、ちゃんと話を聞いて一緒に対話するんですね。」
堀江:「ただ、求められるから受験指導をする。という事はしません。」
堀江:「もちろん子供と一緒に調べたり、資料を渡したり応援はするんですよ(^^)」
堀江:「ただ、学校として大切にしている事を変えてまで受験対策の授業などをすることはできないので、そこはちゃんと伝えますね。」
堀江:「なので、対等に対話を重ねる。相手が子供でも職員でも保護者でも、そこは同じかと思いますね。」
保護者と学校の間に上下の関係は無い。
学校として、子どもの事を真ん中において、対話をすることから逃げていない事が伝わりました。
このように、
“職員関係” “保護者関係” 対話に本気で取り組んでいる大人が職員だからこそ、
子どもたちの対話を本気で尊重して、見守る事ができるのかもしれません。
堀江校長先生。
貴重なお話の数々、心からありがとうございました!!
(※話し合いながら活動を試行錯誤する子供たち)
3,【加藤校長先生に取材】
加藤校長先生(中学校の校長)にも、沢山の話を聞かせていただきました。
ここでは、中でも特に心に残った事を2つ書きます。(敬称略)
①《大人の声のしない学校》
一つ目は、大人の声がしない学校という事です。
加藤:「僕たちは大人の声のしない学校を目指してるんです。」
加藤:「だから、今も授業中だけど、大人の声じゃなくて子供の声しか聞こえないでしょ?」
私 :(本当に聞こえない)
加藤:「ここは無いもの尽くしの学校ですから、基本的には教えることもしません。」
私 :「教えない学校!」
加藤:「はい。ここは待つ学校です。」
私 :「待つ学校…。」
加藤:「学校の役割は、自分を無条件で信じられる子、人生って楽しそうという希望を持てる子を育むことだと思うんです。」
加藤:「その為には、自分で考えて、自分で選択して、毎日を楽しく充実させる経験が必要なんです。」
加藤:「その為には、大人の声を出すのではなく、信じて待たなきゃいけないんです。」
加藤:「子どもは敏感です。例え大人が押し付けているつもりが無くても、日頃の大人の姿を察知して、無意識に演じてしまいます。」
私 :(堀江校長も似たこと言ってた!)
加藤:「だから僕たちができる事は、上から何かを教える事ではなくて、子供が自己決定を安心してできるように対等な関係で信じて待つことだと思ってます。」
実際にこのあと学校内を見学させていただいた時も、先生方は本当に信じて待っていました。
子どものトラブルについても、子供が自己解決する営みを信じて待ち続けていました。
そして、余談ですが、加藤校長の話の中で次のようなお話も頂きました。
「コロナ禍で“遅れを取り戻す”って聞きますけど、大人の都合であって、子供たちは何からも遅れていないですよね。」
という話もいただきました。
『子供を真ん中』にして考える。そういう意味でも大人の声がしない学校なのかもしれません。
②《本当の体験》
二つ目は、本当の体験を大切にされているという事です。
例:建物づくり
(⓪話し合いの中で必要性を感じて建物を建てることになる)
①建物の設計を考える
②建築関係の仕事をしている方にアドバイスもらう
③必要な予算を打ち出す(進行中の計画は60万だった)
④予算を稼ぐ計画を立てる
⑤予算を稼ぎながら作業を始める
例:豚の飼育
①皆で豚の飼育をしていた
②豚の命をいただく事に
③業務用の冷凍庫を購入し、保管
このように、本当の体験をするのです。
ごっこ遊びではなく、机上の学びを結び付けるでもなく、本当の体験。
実際に「予算も稼ぐ」の項目も、何をつくるか、いくらで売るか、どれぐらい売れるか、何個作るか…
本当に全て子供たちが決めていくんです。
この他にも、
・修学旅行の行先や行程を自分たちで全て決める(決まってるのは予算だけ)
・それぞれレシートを持ち寄って計算を経験 …等、
本当の体験や生活を学びの中心にする事に徹底しているんです!
このような教科や学年に捉われない学校全体のブレない軸が、
子どものたちが安心して、主体的に取り組める環境をつくっているのかもしれませんね!
加藤校長先生。
貴重なお話の数々、心からありがとうございました!!
(※業務用の冷凍庫)
4,【子供たちの様子】
実際に子供たちの1日に密着させていただいて、
インタビューさせていただいた事が本当にそのまま光景として広がっていました。
実際の活動の様子は、きのくに子どもの村さんのHPの「最近のようす」を覗いてみて下さい!
http://www.kinokuni.ac.jp/nc_alps/html/htdocs/?page_id=20
ここでは、訪問時に話を聞いたAさんとのやり取りを紹介します。
◎Aさんとの会話
私 :「今、何やってるんですか?」
Aさん:「クラスのいい所をまとめようと思って。」
私 :「ほうほう!詳しく聞いてもいいですか?」
Aさん:「3月で今のメンバーは終わりになってしまうので、最後にみんなのいい所をアンケートとってまとめてるんです。」
Aさん:「私は本当は書いてあるそのものを貼り合わせて、字も含めてその人の良さだとしてまとめたかったんですけど、それだと読みやすさがなくなっちゃうと思ったので、今パソコンで文字にしてるんです。」
Aさん:「でも、少しでもその子の思いがそのまま表されるように、文字とかは変換しないようにしています。」
私 :「えっ、どういう事?」
Aさん:「例えば『やさしい』ってアンケートに平仮名で出してくれた子のは、勝手に『優しい』にしないで、『やさしい』って打ちます。」
Aさん:「なんだか平仮名の方が柔らかいイメージが私はあるんです。そんな風に、アンケートを書いた人には書いた人の思いがあるはずだから、勝手に変えずにそのまま打ってるんです。」
Aさん:「『おもしろい』と『面白い』とかも同じですね。」
私 :「そんなニュアンスまで意識してるんですね!ステキ!!それって何かで習ったりしたんですか?」
Aさん:「いや、別に習ったとかは無いですね。……ただ、これを年度末にやろうと思った理由はあります。」
私 :「えっ、何々?」
Aさん:「結構前に人のいい所を考えるみたいな流れになって、同じような事をやったんです。」
Aさん:「その時にとってもいい気持ちになったのを覚えてて、毎月してたらみんないい気持ちになるんじゃないかと思ってたんです。」
Aさん:「ただ、できてなかったから、3月にやり残す事の無いようにしたいと思って始めたんです。」
どうですか?
日頃から主体的に活動し、考え、どのように表現したいか。
そういう営みを繰り返していることがこの一つの会話からも分かるんじゃないかと思います。
少なくとも僕は、このAさんから1人の人として、
「人の表現を大切にするとは?」という事について考えさせられました。
他にもたくさんの在校生の皆さんにお話伺いました。
応えて下さった在校生の皆さんありがとうございました!!
(※作業するAさん)
5,【卒業生の声】
僕の訪問した3/17。
高校を卒業して、春休みになった卒業生のEさんがボランティアの職員として働いていらっしゃったので話を伺いました。
私 :「在学生だったころの事を思い出して、どうですか?」
Eさん:「本当に楽しかったですね。何でも自分たちでできている実感もあったので。」
私 :「逆に困った経験とかは無かったですか?」
Eさん:「特には無かったですね。…強いて言うなら2年生で転校してきた時に、環境が違いすぎて困った気はするけど、すぐ慣れました。」
私 :「なるほど! 今、大人として戻ってみてどうですか?」
Eさん:「いや、びっくりですね!(笑) 子供の頃は気付かなかった大変さが沢山あって。」
Eさん:「材料の準備とかもそうですけど、待つことがこんなに大変なんだと気付きました。」
Eさん:「やっぱりアドバイスしたくなっちゃうんですよね。でも大人になってみて、待つことの大変さを知って、失敗させてもらってたんだと気付きました。」
私 :「素晴らしい気付きですね! その大人の大変さを知った上で、先生になりたいと思いますか?」
Eさん:「なりたいです!大変だけど、やっぱり楽しいんですよね!」
Eさん:「子供が喜んでいる姿を見ると嬉しいし、子どもと一緒に成長している感覚があって楽しいんですよね。」
Eさん:「本当にここで働いている先生たちは、皆忙しいけど、本当に楽しんでて笑顔なんですよ!お金持ちになれるとは思わないけど、幸せではあるな、って。」
Eさん:「だから可能なら、ここの大人としていつか働きたいです。」
Eさんと話していて、在学時代に本当に楽しかった事、
大人として働いてみても本当に喜びにあふれている事、
そして、自分の人生を自分の選択で幸せに歩んでいく感覚が備わっている事を感じました!
その姿から、僕も自分の人生を見直させられる思いになりました。
ちなみに、
Eさんとの話でも余談があります。(余談多くてすみません。笑)
Eさんに進路選択の時のことなどを聞く中で、こんな話がありました。
Eさん:「何を普通とするかは分からないですけど…、いわゆる普通な学校とは違う事を心配される方がいるんです。でも、むしろ逆かと。」
Eさん:「周りが経験してない事を経験しているからこそ、色んな人が興味をもってくれる。違うことが強みになってます!」
Eさん、貴重な卒業生の声を聴かせていただき、ありがとうございました!
6,【堀理事長に取材】
さいごに、堀真一郎先生(きのくに子どもの村学園理事長)に、お話を聞かせていただきました!
質問毎に記録として書かせていただきます!(※敬称略)
ニイル等の教育観の事、学校の作り方等については、堀先生の著書にまとめられているので割愛させていただきます。
最も新しい著書である『体験学習で学校を変える』は、学校を新設する経緯から苦労が、土地代のことなども含めてリアルに載っています。
興味ある方は、ご覧ください。
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E5%A0%80%E7%9C%9F%E4%B8%80%E9%83%8E&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss_1
①「『学び』とは?」
堀:「『意図的に用意された環境の中で、子供が経験を通して力をつけていく事』ですかね。」
堀:「もちろん、どんな環境だって子供は成長できるんですよ。でも、大人は意図的にそれを促す環境をつくらなきゃいけないと思います。」
堀:「環境っていうのは、もの、空間、人、そういう全てのものですね。」
私:「人の環境が、きのくにさんみたいに理念を共にできるようになる為には何が大切ですかね?」
堀:「対話を積み重ねるしかないですよ。きのくにも同じでした。途中で思いがすれ違ったこともありましたが、その度に話し合いを重ねてきました。」
堀:「学校ができてからも毎日毎日試行錯誤で、話し合いながらの毎日でした。当然、離れていった人のゼロではありません。」
堀:「でも、気付けば卒業生や保護者が働いてくれたり、支援者になってくれたり、理念に共感している人で運営していました。」
堀:「なので、きのくには、皆で対話して、皆で思いを共有しながらつくった、皆の学校なんです。」
大人同士の関係も、年単位で対話を重ねる事で紡がれていっている事が分かります。
人的環境として理念を共有する為に特効薬はないんですね。
先生同士でも、両親でも、日常的な対話の積み重ねに勝るものは無いかもしれませんね(^^)
②「(いわゆる一般的な)学校の先生に伝えたいことは?」
堀:「私は、学校の先生を本気でリスペクトしています!皆さん頑張っているのを知っているし、夢をもちながら努力している!」
堀:「世の中には、自分が子供という立場で経験しているがゆえに、知ったように学校教育を語るなんちゃって評論家が沢山います。」
堀:「仕方のないことかもしれませんが、その現場を知らない人が悪く批判するのは違うと思うんです。意見は意見としてちゃんと伝えて話せばいいのですから。」
堀:「それは他の仕事でも同じことだと思うんですよね。」
堀:「だから先生方には、教育のプロとして誇りをもっていてほしいです。」
私:「堀先生が思う教育のプロってどんな人ですか?」
堀:「そうですね…。自分自身が捉われていない事ですかね。」
堀:「大人が自分の考えとか価値観に捉われ過ぎてしまうと子供と対等に話す事もできないし、好奇心もなくなってしまうんですよね。」
私:「好奇心!」
堀:「はい。好奇心がある大人の姿を見ていないで、子供が好奇心をもつわけないですから。好奇心溢れる人は教育のプロなんじゃないかと思いますね。」
堀:「あっ!あとそれを支える体力ですね!好奇心があっても、体力無いと体がもたないですから。」
堀:「丈夫な体で、好奇心をもち続けてる大人(捉われていない大人)は、プロだなって思いますね」
話を伺っていて、学校教育を担う大人として誇りとプライドをもっていらっしゃることがビシビシ伝わってきました!!
衰え知らずのエネルギーを見た気がします。
先生たちが自分に誇りをもって毎日輝けるような社会づくりの為に、自分にできる事をし続けたいと改めて思わされました!
③「今後、日本の学校教育のあり方にどうなってほしいですか?」
堀:「別にトレースじゃなくていいけど、きのくにの教育の考えが広まってほしいとは思いますね。」
堀:「よく“特別な学校”とか思われてしまうんですが、きのくに は学校法人として文科省に認可された学校です。」
堀:「学習指導要領に準拠して、30年前から成立している普通の学校なんです。」
堀:「なので、同じじゃなくていいので、特別にしないで参考にしてくれる学校が増えてくれると嬉しいです。」
特別な学校ではない、普通な学校。
ここについては、終わりの部分でも触れますが、読んでくださった方に心から受け止めて頂けたら嬉しいです。
僕は、日本ではモデルケースがない30年前に学校法人として成り立たせた時の事を想像すると、その取り組みの尊さに涙が出てきます。
約30年間、モデルケースとして成長し続ける きのくに子どもの村学園さんを敬愛します!!
④「親たちに伝えたいことは?」
堀:「そうですね。。。親が幸せっていうのが、基礎条件になるって事ですかね。」
堀:「親が毎日に幸せを感じていることが、子どもの毎日の幸せに繋がるし、未来へ希望にも繋がりますから。」
堀:「なので、『子どもを幸せにしたい』って子どもに目が向くのもいいんですが、自分が幸せを感じて笑顔でいる事を大切にしてほしいですね。」
堀:「あっ、あと学校には、優しい気持ちをもってあげて下さい。意見は対等に伝えればいいものなので。」
私:「ちなみに堀先生にとって幸せとはどういうものですか?」
堀:「う~ん、いつまでも好奇心がもてる事、出来上がらないことが幸せですかね。」
堀:「成長することが幸せっていうよりも、成長しつつあることが幸せなのかなって思いますね。」
“環境” と本気で向き合ってきた堀先生だからこそ、
親という人的環境の大切さは強く感じていらっしゃるのかと思います。
また、「出来上がらない事が幸せ」という最後の言葉。
皆さんは、どう受け止めますか?
学びの結果だけに喜びがあるのではなく、学びそのものが喜びである。
私は、そんなことを考えさせられました。
本当にご多用の中、堀理事長。
貴重なお話の数々、心からありがとうございました!!
(※尊敬する堀理事長と)
7,【おわりに ~普通な学校~】
1日取材させていただいて、
いわゆる一般的な公立学校の姿とは違う姿だったかもしれません。
記事を読んだ人の中にも、「特別」な学校と思った方も多いと思います。
しかし、堀先生をはじめ、他の職員の方も特別な取り組みだと思っているようには見えませんでした。
「“学び” という営みを考える」
「“学校” の担う役割を考える」
そんな当たり前の事と本気で向き合ってるだけに思えました。
去年、新型コロナウイルスのきっかけにして
“学び” という営みを問い直す声が広がってきたように思います。
“学校” の担う役割を問い直す声が広がってきたように思います。
“新しい学び” “新しい学校” という特別視するような言葉もよく見るようになりました。
そんな今こそ、
学校法人として認可された“普通の学校”として、
“学び”と向き合い続けてきた、きのくに子どもの村学園の取り組みは、大きなヒントをくれているのではないでしょうか?
“新しい学び” でも “新しい学校”でもない。
“特別な学び” でも “特別な学校”でもない。
きのくに子どもの村学園は今年で30周年を迎えます。
最後になりますが、今回取材にご協力いただいた、
「学校法人 きのくに子どもの村学園 南アルプス子どもの村小学校・中学校」の皆様、
大変ご多用の中、快く取材に応えて下さり、誠にありがとうございました!
そして、この記事をお読みいただき、共に考えて下さった皆様。
僕のつたない文章に価値を色付けしてくださり、心からありがとうございました!!
また、これからも多くの方と考える機会をつくり続けていきます。
よろしくお願いします!!
(※放課後遊んだ子供たちの一枚)
by,偽善者先生【ママパパ皆と教育を考える小学校の先生】